頑なに来所拒否のあったAさん

「今年も、もう終わりだなぁ。」と、世間も少しずつ慌ただしくなってきた頃、かすがいの家に1件の電話が掛かってきました。認知症が進行しているAさんのご家族からの相談電話でした。ケアマネやご家族とも話し合い、「それでは○日にお迎えに上がります。」と利用が決まり、いざ当日、不安を感じたのか、Aさんが頑なに「私はどこにも行かない」と言う様になってしまいました。

とりあえず、その日の利用は見送り、また翌日お迎えにいっても、様子は変わりませんでした。人を変え、アプローチの仕方を変え、様々な対応をしますがAさんの意志は一向に変わりません。そんな様子が1か月近く続き、「今回はちょっと難しいのかな。」と諦めかけていた所、職員一同もう一度話し合い、大きな紙にデイサービスで何をするか、1日の様子を細かく記して、Aさんにもう一度、丁寧に説明しました。そこでようやく「行ってみようかしら。」となり、初めての来所はその年最後の日でした。1度来てからは、新年を迎えてからも拒否なく来所され、それから数年経った今では、「今度はいつ来れるで?」「明日もかすがいの家に来ていいだけ?」と来所の日を楽しみにしてくれています。

元気な時からかすがいの家に来ていたBさん

「この店はどんなとこで~?」と、かすがいの家が出来て、まだ間もない頃。知り合いがいた事もあって、自転車で施設を突然訪れた近所のBさん。「ここはデイサービスといった介護福祉施設ですよ。」説明すると、「ほ~け~。いつか俺も入れてくりょ~し。」と明るいBさん。それから近くを通ると自分の畑で採れた野菜を沢山くれたり、こちらもお茶を出したり不定期で遊びに来てくれていました。

そんなBさんがしばらく来なくなり「最近どうしてるのかね?」と話していた時、包括支援センターより電話がありました。「かすがいの家の近くにお住まいの方の事でご相談が・・・」といった内容でした。こちらで様子を見に行く事となり、住所をお伺いし訪れた所、なんとBさんでした!自転車で転倒をきっかけに寝たきりになっていたBさんは、表情も虚ろで、尿失禁もあり体の至る所に褥瘡が出来ていました。久しぶりのBさんに「しばらく毎日かすがいの家に行こう!」と声を掛け、それから1か月程で褥瘡もよくなり、座位で食事をとれるようになりました。表情も前の様に明るくなり、「明日もかすがいの家に来ていいだら~?」と満面の笑みで話しておられました。

かすがいの家だけは忘れなかった認知症で一人暮らしのCさん

かすがいの家の近くの、集合住宅の傍らで常に草むしりをしていたり、道路に向かって深々とお辞儀を繰り返していたCさん。何か様子がおかしいと思っていた矢先に、娘さんから相談の電話が掛かってきました。家庭の事情で引き取れない状況で、医療への紹介をし、介護申請を経て、かすがいの家の利用が始まりました。デイサービスの中の一日は、いわゆるとても優等生で、体操もテキパキ行い、カラオケの歌唱力は聞き入ってしまう程でした。

しかし、デイサービスがお休みの日の方が、ちょっぴり大変でした。(笑)唯一の家族の娘さんは日中、仕事の為おらず、Cさんはかすがいの家が休みの日も中に入りたくて、誰もいない施設のドアを力尽くで開けようとして、ドアを壊してしまう程でした。事務所で対応しようとしましたが、いつものホールにどうしても入りたいのか、物を投げたりと大騒ぎでした。そんな日々を送っている中、ある日徘徊をしてしまい、Cさんが行方不明になりました。幸いその日のうちに発見されましたが、見つかった場所は自宅から何キロも離れたところでした。保護されたお巡りさんに、住所を尋ねられても認知症の為、答えられなかったのですが、しきりに「かすがいの家」と言って、無事施設にパトカーで送り届けられました。

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